登山活動

ゆるいアウトドアサークル登山の基本は、初心者でも気軽に参加できる「近場の低山を楽しくハイキングする」ことです。忙しい社会人の気分転換になるような気軽な登山に行けたらと思います。

登山の仲間を見つけたら、自分たちで遠出の山にチャレンジしたりしています。

最近、気軽にアウトドアを楽しみたい、アウトドアで仲間を作りたいという需要は高まっています。その一方で、容易にアウトドアの仲間を作ることは難しい現実もあります。ゆるいアウトドアサークルでは、初心者でも参加しやすい気軽なハイキング&登山からアウトドアを通じて友達作りをすることを目標にしています。

筑波山からの展望

ゆるいアウトドアサークルは、入会料・会費なしで運営するサークルなので、会費の代わりとして、男性は1年に複数回のイベントを開催することが必修になっており、低山ハイキングが中心になります。

ゆるい低山ハイク

ゆるいアウトドアサークルは、その多くが誰でも参加できる「オープン参加の登山スタイル」をとっています。このように誰でも参加できる登山を行う時には、ハイキングから初心者向けの春~秋登山にすることで、中級者以上の登山を行わないことが遭難予防になります。イメージとしては、学校の生徒がいける研修登山レベルの登山になります。

例えば、高尾山のような非常に整備が進んだ低山ハイクでは、遭難・滑落の危険性が少ない登山を楽しむことができます。このような低山ハイクを通じて、お互いの実力・体力を把握したり、体力・装備を整えてから中級以上の登山に挑むのが安全を高めることになると考えています。

楽しくハイキングするためには、遭難事故を予防することが最も大切になります。

登山の遭難事故予防

登山の遭難事故を予防するために事前準備が欠かせません。特に遭難時に多いのは、夏の低体温症、道迷いからの滑落などです。最初から道迷い、遭難を想定して、ある程度の装備を持っていれば、慌てずに対処することにも繋がります。

体調管理をきちんとする

遭難事故を予防する上で先ず大切なのは、体調を整えて登山することです。前の日の夜まで仕事をして疲れた状態であったり、キャンプ場からの登山で良く眠れなかった状態などでは、判断力の低下から事故が起こりやすい状況になります。判断ミスを起こさないためには、体調が万全であることが大切になります。前の日に仕事などで疲れていたり、夜に寝るのが遅くなってしまうと、登山中に疲れやすくなってしまったり、判断力が低下したりしてしまいます。

出発時間を早くする

登山は早朝出発が基本であり、午後の早めに行動を終えることが大切になります。登山道は、高い気が生い茂っているので、午後3時頃から暗くなっていきます。周囲が暗くなってしまったら、行動を停止して「その場でビバークする」という選択が最適です。そのために必要な装備を持っていれば、慌てずにビバークすることができます。

天気の確認

天気予報の確認は、登山する上で最も重要になることの1つと言えます。晴天の時に比べて、雨天の登山は危険度が何倍にもなるからです。特に縦走のような日をまたぐ際には、雨の注意をする必要があり、さらに台風の発生に注意が必要になります。多くの遭難事故は、天候が悪化した時に起こっているのです。途中で天気が悪化した場合、小屋などで1泊、2泊してやり過ごすことが良いとされています。近くに小屋がない場合、仮設テント、ツェルト、タープで雨風を防ぎます。

北海道では、夏山でも雨天の時に気温が低下して低体温症になった遭難事故もあります。大雨の山では、登山道に水が流れてが川のようになっていたり、河川が増水して普段よりかなり危険になります。また、冬山での天候悪化は、命の危険性が特に高くなります。

装備をきちんと確認する

特に重要なのは、携帯の充電器(最低2つ)、タープ(設置のロープ最低3本・軽ペグ4本)、接着剤・ガムテープ(靴の修復)、絆創膏・包帯、夜間用の懐中電灯・ヘッドライト、ほっかいろ(低体温症の予防)、軽量の折り畳み傘(100gレベル)、ライトダウンジャケット(低体温症の予防)などです。100均自転車カヴァー(ツェルト代わり)、予備の食料、予備の水などを持っていれば、安心して行動できます。

これらの装備は、軽量ですが、万一の時に相当の威力を発揮するものです。

登山計画書の提出

登山計画書には、名前だけでもいいので書いて、どのようなルートで登山するかの予定を書いておくだけで、遭難した時に見つけて貰う可能性が高くなります。そうしなければ、遭難しても間違ったところを探される可能性があり、発見が遅くなる可能性があります。

道の間違えによる遭難

道の間違えによる遭難は、遭難事故で最も多くなっています。特にあまり有名とは言えない山で、目印(マーキング)がない山で道迷いが起こりやすくなっています。登山アプリを使うなどして、自分の現在位置を把握しておく必要があります。少しでもおかしいと思った時点で冷静になって立ち止まり、そこから戻ることができれば、遭難を防止することができます。

沢ではなく尾根を探す鉄則

道迷いをしたら、時間がかかっても「尾根を探す」というのが鉄則になります。道迷いした時に絶対にやってはいけないことは、沢を下っていくことです。沢の近くが歩きやすいからといって、沢を下っていくと、ほとんど「大きな滝」に当たり、それ以上はロープなどの特殊装備がないと進めないようになっています。そこで先を無理して行こうとすると、岩場から滑落して最悪の結果になることがあります。多くの遭難事故は、道迷いから強引に沢を下って、滝に当たったところで起きているのです。道を迷った時に沢を下る行為は、最もやってはいけないNG行動とされています。

1999年8月に荒川岳で起きた遭難では、雨で道が分かりづらくなっていたことが道迷いをした原因であるとされています。天候が悪い時には、視界が悪くなることで道迷いのリスクがあがります。また、積雪があると道が分からなくなったり、残雪があると道のように見えてしまうこともあります。雨・雪が強くなった場合には、その場でタープを張るなどしてビバークするのが良いでしょう。

滑落事故による遭難

滑落事故は、特に気象条件が悪い時に起こりやすくなります。気象条件が悪くなると、霧で前が見えずづらくなったり、道が滑りやすくなったりすることで、滑落事故が起こりやすくなります。また、パートナーが滑落した場合には、判断をミスすれば、一緒に遭難する事故に繫がります。

特に、2000メートル以上の山になると、7月以降でも残雪(雪渓)が見られることがあります。残雪がある場所は、アイゼン・ピッケルがないと滑落の危険性が高い場所も多いので、特に注意が必要になります。

雷による遭難

夏山(4~10月)で気をつけたいのは、登山中に雨が降って落雷の危険があることです。山の天気は変わりやすく、快晴で始まった登山でも、途中から強い雨になることがあります。雷が発生した時は、頂上・尾根が極めて危険地帯となるのですぐにでも離れる必要があります。山小屋に避難する必要があります。集団で歩いている時には、1人1人の間隔をあけることも大事です。

夜間行動の遭難

夏山、冬山問わず、山で夜間になったら絶対に動かないことが必要になります。登山の時に必ずヘッドライトを持っていくことが必要ですが、ヘッドライトを持っても夜間に夜道を歩くのは危険を伴うことになります。夏でも、冬でも、「夜間になったらその場に待機する」ことが基本になります。そのためには、テント、ツェルト、最悪でもタープぐらい持っていくと、その場に留まる時に精神的に落ち着くことができます。自分の状況は、明るくなってから考えることにします。

精神錯乱に陥る遭難

登山で疲れてくると、精神的に錯乱を起こしてしまうことがあります。天候が悪いときには、無理をして歩き回らず、視界が晴れるのを待つのが良いとされています。

GPSによる位置情報の確認

社会人サークルで登山する人には、YAMAPで位置情報を常にオンにしていくことを強くお勧めしています。位置情報をオンにしておけば、道から外れて1人ではぐれてしまた場合でも、発見しやすくなるからです。

YAMAPなどでGPSによる位置情報の確認が大切になります。最初に登山する山の地図をダウンロードしておいて、位置情報を確認しながら登山を行うことで、道に迷う危険性を減らしたり、道に迷った時に落ち着いて対処したりすることができます。携帯GPSは、衛星を利用しているので、電波が入らない所でも利用することができます。

山岳地帯で電波が弱いとバッテリー消費が早くなるので、機内モードにしたり、予備のバッテリーを必ず2つ以上は持っていく必要があります。また、ケーブルの調子が悪くて充電できないこともあるので、予備ケーブルも必ず持っていく必要があります。

1人の登山であれば、予備スマホを1台持っていくのも良いでしょう。予備のスマホは、片方のスマホが使えなくなった場合を想定して、地図アプリを入れておいたり、備えとして地図をスクリーンショットで撮影しておくことも有効になります。

・スマホアプリだけで登山GPSになる
スマホGPSは圏外・機内モードでも使える
・スマホ地図はオフラインでも使える
・機内モードでバッテリー節約できる
・スマートウォッチ利用も便利

登山レベルの確認

日帰りでも時間がかかる登山ほど難易度が高くなります。また、日帰りが困難な山になれば、それだけ装備品が多くなるので、難易度が高くなることになります。また、樹林帯を抜けた標高が高くなった所では、風が強くなり、夏山でも低体温症のリスクが高まるので、悪天候の時には樹林帯まで撤退することが必要になります。

レベル1:高尾山、高水三山、青梅ハイキング、鋸山(春・夏・秋・冬)
レベル2:金時山、鍋割山、金峰山、大山(春~秋)、塔ノ岳(夏)
レベル3:瑞牆山、雲取山、富士山、岩手山
レベル4:赤岳(夏)、北岳

これ以上の難易度の登山は、サークルで行うことはありません。基本的には、雪山登山も行いません。

(当サークルで、登山未経験者の定義は、高尾山程度の山しか上ったことがない方です。初級の定義は、高尾山、高水三山、青梅ハイキング、鋸山などの低山をいくつも登ったことがあるものです。中級の定義は、金時山、鍋割山、金峰山、塔ノ岳などの低山に加えて、複数の2000m程度の山をいくつも登山したことがある方です。上級の定義は、赤岳(夏)、北岳などアルプスをいくつも登ったり、冬山をいくつかこなしたことがあるというものです)

昆虫に対する対策

春~秋の山に見られるのが「山ヒル(ヤマビル)」になります。上着の中にも入り込んで、吸血してくる非常に厄介な存在です。足から気が付かないうちにダラダラと出血することになります。むやみに足から血を流した状態を継続していると、感染症の原因になったりすることがあります。山ヒルによるアレルギー反応で傷口が痒くなったり、腫れたりする症状を引き起こすこともあります。

山ヒル対策として有効なのは、とにかく足元をガードすることです。山に入る時には、帽子、長袖なども身に着けていかないと、山ヒルに肌を狙われることになります。なるべく皮膚の露出を減らすために、シャツなどもズボンの中に入れるようにしましょう。休憩の時にザックを地面に置かず、木に吊るしたりする人もいるようです。また、食塩水を浸した布を足首に巻いておく人もいます。食塩水スプレーも有効です。

テント泊で求められる睡眠の質

登山のテント泊となると、自分でテントなどの宿泊セットを運ぶ必要があるので、軽量化が求められることになります。登山の場合には、荷物の最小化が求められますが、寝袋の下のマットは持っていかない訳にはいかないでしょう。特に登山中のテント泊で睡眠の質が下がると、判断力低下による遭難の危険性などが高まることになってしまいます。良く寝られるような工夫をすることが大切になります。

エアマット、エア枕

登山の季節

初心者は、基本的に気候が安定する春・秋の低山が良いとされています。夏には、中級~上級レベルの高山に行くことができる季節になります。基本的に冬の登山は全て上級者向けとなり、サークル活動には不向きなので、整備された場所でスキー&スノボを楽しむことになります。

春登山
春は、最も登山に最適の季節になります。梅雨入りまでは、天候が安定する日が多くあり、新緑を見て登山することもできます。気温も高くないので、爽やかな風を受けながら登山することができます。

夏登山
夏の低山は、天候が良ければ、平地と同じぐらい暑くなるので熱中症対策が必要になります。また、水の消費量も増える傾向があり、2リットル以上の水を必要とすることも珍しくありません。

秋登山
秋は、登山で人気のシーズンになります。紅葉が見られる季節があります。標高が高い山になると、10月頃に既に積雪があることがあるので防寒対策をきちんとして行く必要があります。

冬登山
冬登山は、夏登山に比較すると難易度が格段に高くなり、必要装備も多くなります。特に冬季の登山で、天候が急変して吹雪の中の登山は、かなりの危険を伴うことになります。

登山パーティの構成

女性を前の方にして、女性のペースに合わせてゆっくりと登山をするようにします。先頭は、ルートハンティングするストレスがかかるので、リーダー以外の人で慣れた体力がある人が行うのが基本になります。リーダーがルートハンティングに集中すると、その他の事に意識を向けることが難しくなります。2番目は、先頭に従えばいいので、ストレスが少なくて済みます。

先頭:サブリーダー
2番:1番体力のないメンバー
3番:体力のあるメンバー
4番:体力に自信があるメンバー
最後尾:リーダー

遭難した時の準備

先ずは、中級以上の登山をする時には、必ずビバークの知識・準備を怠らないことが大切になります。また、メンバーの経験をきちんと把握しておくことも大切になるでしょう。道に迷うことは誰にも起こりうることで、下山が遅くなった時に道に迷うと、周囲が真っ暗になります。その時は、下手に動き回るよりも、適当な所でテントを広げて朝まで活動休止するのが良い判断となります。

日帰り登山であったとしても、簡易のビバーク装備を持っておけば、心強いということになります。

ツェルト代わりカバー
1日以上耐える非常食
予備の明かり
保温シート
軽量の傘

自分が登山の途中で遭難した時に最も重要になるのは、防寒・食料品・水分であることは間違いありません。食料を現場で調達するのは難しいからです。登山の携帯で最も適しているのが「玄米がゆ」の煎餅です。超軽量でありながらも、栄養価が高くて、そのままでも、水に解しても食べることができます。普通の煎餅では、軽量ながら主食の代わりにすることができませんが、玄米粥の煎餅であれば、主食の代わりにしても持ち歩きが容易だからです。

過去の遭難事例と教訓から学ぶ

過去に学ぶことはとても重要なことです。今までの遭難事故の半分は、悪天候の時に天気予報を十分に確認せずに「現場判断」で突っ込んでいったことに起因しています。きちんと天気予報を確認することで遭難を予防することができる可能性が高まります。

遭難事故の事例から教訓を学ぶで遭難事故についてまとめています。

・道を間違えた遭難
・滑落事故による遭難
・天候悪化による遭難(低滞温症など)
・雷による遭難
・地震・雪崩の遭難

▼登山活動の例

ゆるいアウトドアサークルは、低山ハイキングを中心にして、山小屋泊などの遠征登山も行っています。

注意点
*基本的に無料で開催される社会人サークルのイベントですが、サークルにおけるイベント主催者は旅行ツアーガイドでも、登山ガイドでもありません。登山でリーダーに「引率」を求める方は、サークル活動ではなく、有料登山に参加することをお勧めします。登山は自己責任になりますので、事前に自分で調べたり、質問したりすることを心がけて頂けたらと思います。