ゆるいアウトドアサークルの基本姿勢

最近では、スキーブームのように1つのことを極めて楽しむより、屋外活動を総合的に「ゆるく楽しむ」人が増えてきています。ゆるいアウトドアサークルは、そのようなゆるい屋外活動を総合的に行うサークルです。

アウトドアサークルとは何か

ゆるいアウトドアサークルのように非営利で開催されるサークルは、有償で登山・アウトドア活動を募集するものとは、全く異なるものです。社会人サークル幹事・登山リーダーは、全く何かのサービスを提供者する立場にはなく、参加者はお客様でもありません。

登山リーダーが行うことは、友人と登山するように計画の作成、情報の提供になります。そのため、参加する側にも、基本的に自主的に活動に参加して、自主的に楽しむ姿勢が求められます。無償の社会人サークルは、自主的に参加して周囲の仲間と楽しむところであり、何かサービスを受ける場所ではありません。自分と周囲の協調しながら楽しむ姿勢がない人には、社会人サークルに全く向いていません。自分勝手に振舞いたいのであれば、1人で登山するのが良いでしょうし、お客様の立場を欲する場合には、山岳ツアーや有料ガイドにお金を支払うのが良いでしょう。

アウトドアサークルは、登山ツアーではなく、教育機関でもなければ、山岳訓練をする場所でもありません。あくまで、アウトドア活動を自主的に楽しむ場所と考えてください。

近場で仲良くなること

ゆるいアウトドアサークルでは、最初に近場の登山で仲良くなる(コミュニケーション登山)を行っています。そこで仲良くなった人と遠出のグループ登山をすることにしています。キャンプなどのアウトドア活動をするにしても、先ずは近場の登山を通じて交流を図ることを想定しています。その理由は、1つは安全対策として、2つ目はその方がより楽しめるからです。

最初に知り合ったばかりで登山すると、相手の性格、力量、ペース配分なども分かりません。そのため、難易度の高い山に行けばいくほど、トラブルが起こりやすくなる可能性が高まり、下手をすれば遭難に繋がってしまいます。近場の登山で何度か場数を踏んで、仲良くなってから遠出する方がスムーズなのです。

ゆるいアウトドアサークルで、「近場の登山活動」が多くなっているのは、近場登山の危険性が低くて、登山に予約不要であるという理由です。簡単に言えば、開催のハードルも参加のハードルも低いからです。中級以上の登山、予約が必要なキャンプ場などは、サークル内で全く知らない人どうしで行くよりは、もともと仲が良いグループを作って行った方がスムーズに楽しめるからです。先に近場の登山活動で仲良くなれない人は、それ以上の発展したアウトドア活動に一緒に行っても楽しくないと判断されるのです。

大山
大山

最初に低山を通じて多くの人とコミュニケーションを図り、そこから仲良くなってアウトドア活動の範囲を広げて行きます。

最初に低山で人間関係づくり

低山にであれば、人数が少しぐらい多くても安全に登山することができます。例えば、高尾山なら20人で一緒に登山しても、ほとんど問題になることはないでしょう。通常、リーダーの目が届くのは8人ぐらいとされています。中級以上の山であれば、大人数で登山することは安全性に問題があることになります。大勢で登山すると、年齢が近かったり、自分と仲良くする仲間を見つけやすいメリットがあります。最初から少人数の登山では、仲良しになりづらいかもしれません。

近場の登山を一緒にすることで、「仲良くなれる人がいるかどうか」を確認します。近場の登山では、相手の性格・相性・登山レベル・コミュニケーション性を把握することができます。近場の大人数登山で相性の合う人と連絡を取り合うことができれば、友達関係を持続することもできるようになります。

参加者どうしでイベントを楽しむ

主催者は、イベントを楽しいものにするために計画を立てたり、努力したりします。しかし、楽しいイベントにするためには、参加者どうしの協力が欠かす事ができません。

登山トレッキング
登山トレッキング

初対面の人と遠出して時間・お金を使って登山して、コミュニケーションに疲れ果てたら「もう登山をしたくない」気持ちになるでしょう。そんな気持ちになったら、サークルにリピートする人も減って、サークル自体が成り立たなくなってしまいます。最も大切にしたいことは、根性を持って登ることではなくて、参加者がそのイベント自体を楽しむことです。

グループ登山のルール

グループ登山では、集団として一緒に行動することが求められます。そのルールをきちんと徹底しないと、初心者がはぐれたりして遭難、行方不明になる可能性もあります。初心者の中には、自分のペースで1人だけ集団に構わずどんどん進んでしまったりする人がいますが、仲間を意識しない行動ができないと、全体を危険にさらすことになるので、遠出の登山に誘われません。

塔の岳からの景色
塔の岳からの景色

低山から少しずつレベルアップする

低山を登ることで、全くの登山初心者であったとしても、少しずつ登山の装備を整えることができます。中級の山にも安全に登る体力を自然に身に付けることができるようになります。

高いコスパの実現

社会人は忙しいので、サークルと言えども「高いコスパ」を実現することが必要です。時間・お金をなるべく抑えながらも、参加者に「高い満足度」を実現することが必要になるのです。「一緒に行ってみたら楽しかった」という気持ちをもとにして、次回も一緒に登山をしたい気持ちになっていきます。「行って良かった」と思えなければ、もう来ることがないからです。

友達と面白い場所に行くだけが目的であれば、日帰りのバスツアーも沢山あります。社会人サークルでは、その日帰りバスツアーにも勝るような魅力がなければ、企画に苦労しているにも関わらず、センスの良い人が誰も来なくなってしまいます。そのイベント提案力、そして楽しませ方は、主催者の腕の見せ所でもあります。

アウトドアサークルの性質

中級者以上の人の中には、「近場の登山はつまらない」と思う人もいるでしょう。登山サークルであれば、中級者向けのみで募集することもできますが、「アウトドアサークル」で募集する場合には、登山以外の活動もしたい人が多いので、登山のレベルだけで判断するものではありません。

山岳会の高齢化が進む原因として、多種多様な遊び方ができる社会で、登山だけにお金・時間を使うコスパが悪くなっているからです。純粋に自然を楽しみたい人にとって、ガチ登山を追及するのは、ハードルが高すぎるし、そこまでメリットもありません。

友達作りに時間がかかる

人間の信頼関係は、すぐにできるものではありません。サークルで信頼を得るにも時間がかかりますし、目の前の人に誠実であることは大切なことです。サークル活動を通じて友人を広げるのは良いことですが、単純に異性と出会いだけを求めるなら、サークル活動より出会い系サイトでも登録した方が効率がいいでしょう。

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